内見のあと、お客様にこう聞かれたことがあります。
「見た目はきれいでしたけど、中身は大丈夫なんでしょうか」
正直なところ、私にも断言はできませんでした。壁の中と床下は、見ただけでは分かりません。
中古住宅で怖いのは、派手な傷みではないと思っています。
買ったあとに出てくる、見えなかったもののほうです。
今回は、インスペクション(建物状況調査)について、費用と分かること、売る側・買う側それぞれの使い方をまとめます。
インスペクションとは
国の制度としては建物状況調査といいます。
既存住宅の構造上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分について、専門の資格を持った建築士が目視を中心に調べるものです。
宅建業法では、媒介契約のときに調査を行う者のあっせんができるかどうかを示すこと、そして重要事項説明で調査の結果の概要を説明することが決められています。
つまり、やるかどうかは任意ですが、制度の中にきちんと位置づけられているものです。「よく分からない民間サービス」ではありません。
費用と時間の目安
| 内容 | 目安 |
|---|---|
| 基本の調査(戸建て) | 5万〜7万円 |
| 基本の調査(マンション住戸) | 4万〜6万円 |
| オプション(床下・屋根裏に進入、機器を使う) | +2万〜5万円 |
| 所要時間 | 2〜3時間 |
| 報告書が出るまで | 数日〜1週間 |
ここで押さえておきたいのは、基本の調査は目視が中心だということです。
床下や屋根裏に人が入るかどうかはオプションになることが多く、見積もりの時点でどこまで見るのかを確認しておかないと、期待とずれます。
何が分かって、何が分からないか
ここを誤解したまま頼むと、がっかりすることになります。
- 分かること…基礎のひび割れ、外壁・屋根の劣化、雨漏りの跡、床の傾き、柱や梁の腐れ、シロアリの被害跡
- 分からないこと…壁の中、設備の寿命(給湯器があと何年もつか)、将来の不具合、資産価値そのもの
調査は「いまの状態を記録するもの」であって、保証ではありません。
「インスペクションを受けたから安心」ではなく、「どこに手を入れる必要があるかが分かる」と考えてください。
買う側の使い方
- 契約の前に行う…結果を見て、買うかどうか、いくらで買うかを判断できます
- リフォーム費用の見積もりに使う…「屋根の防水が傷んでいる」と分かれば、そのぶんを資金計画に入れられます
- 価格の交渉材料にする…ただし強く出すぎると売主が態度をかたくします。数字で淡々と
- 既存住宅売買瑕疵保険の入口になる…保険に入るには検査に通る必要があります
1つ目がいちばん大事です。契約後に頼んでも、結果が悪かったときに引き返せません。
売主の許可が要るので、不動産会社を通して早めに申し入れるのが現実的です。
売る側の使い方
売る側がやる意味も、きちんとあります。
- 買い手の不安を先に消せる…「調査済み」は他の物件との差になります
- あとから揉めにくい…契約不適合責任を問われるリスクを下げられます
- 直してから売るか、そのまま売るかを決められる
3つ目を補足します。悪いところが見つかったら全部直す、という話ではありません。
直す費用と、値下げする額を比べる。直したほうが安ければ直す、高ければ正直に伝えて価格に織り込む。どちらも正しい判断です。
いちばんまずいのは、知っていて黙っていることです。あとで発覚すると、値下げどころでは済まなくなります。
頼むときに見るところ
- 資格…既存住宅状況調査技術者(講習を修了した建築士)か
- 中立性…リフォーム工事も請け負う会社だと、工事が必要という結論に傾く可能性があります
- 報告書の中身…写真が入っているか。サンプルを見せてもらう
- 見る範囲…床下・屋根裏に入るのか、目視だけなのか
2つ目は意外と言われませんが、大事なところです。調査だけを専門にしている会社のほうが、結果を素直に受け取れます。
今日のまとめ
- インスペクション=建物状況調査。宅建業法の中に位置づけられている
- 費用は戸建てで5万〜7万円、2〜3時間。床下・屋根裏はオプションのことが多い
- 分かるのは今の状態。保証ではない
- 買う側は契約の前に。あとからでは引き返せない
- 売る側は直す費用と値下げ額を比べて決める。黙っているのがいちばん損
- 頼むときは資格・中立性・報告書・見る範囲
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調査で手を入れる場所が分かったら、次はその工事にいくらかかるかです。ここは会社によって金額の差が大きく出ます。
売るか直すかの判断にも効くので、査定と並べて見ると決めやすくなります。
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まずは手元の媒介契約書で、あっせんの有無がどう書かれているかを見てみませんか。そこが入口になります。
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