住み替えを考えはじめたものの、ローンがまだ20年残っている。
「完済しないと売れない」と聞いて、そこで話が止まってしまった。
そんな方は少なくありません。
私も最初、返済が終わるまで動けないものだと思っていました。
でも実際には、ローンが残ったまま売る取引のほうが多数派です。
売った代金でローンを返す、という順番になるだけなのです。
今日は、その仕組みと、足りなかったときの選び方を整理してみます。
売れない理由は「ローン」ではなく「抵当権」です
住宅ローンを組むと、その家に抵当権が設定されます。
抵当権とは、返済が滞ったときに金融機関が家を売ってお金を回収できる権利のこと。
この抵当権が付いたままの家は、買う人がいません。
あとから他人の借金で家を取り上げられる可能性があるからです。
ですので、家を引き渡す日までに抵当権を消す必要があります。
そして抵当権を消すには、ローンを完済しなければならない。
つまり条件は1つだけ。
売った代金でローンを返しきれるか、です。
手順は、決済の日に同時に進みます
「先に返してから売る」と考えると、手元に大金が要ることになります。
実際は違います。
引き渡しの日(決済日)に、買主からお金を受け取り、その場でローンを返し、抵当権を消す。
この3つを、司法書士が立ち会って同じ日に済ませます。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 金融機関に残高証明(返済予定表でも可)を取り、残債を確認 |
| 2 | 不動産会社に査定を出してもらい、売れそうな価格を知る |
| 3 | 残債と価格を比べ、足りるかどうかを判断 |
| 4 | 媒介契約を結び、売り出す |
| 5 | 買主が決まったら、金融機関に完済の予定を連絡 |
| 6 | 決済日に、受領・完済・抵当権抹消を同時に行う |
金融機関への連絡は、意外と早めが必要です。
手続きに数週間かかることもありますので、買主が決まった時点で動いておくと安心です。
まず調べるのは、自分の残債です
ここを知らないまま不動産会社に行く方が、とても多いと感じています。
残債は、次のどれかで確認できます。
・毎年送られてくる返済予定表
・金融機関のインターネットバンキングの画面
・窓口やコールセンターに依頼する残高証明書
そのうえで、注意していただきたいのが一括で返すときの金額です。
利息の計算日が変わるため、予定表の数字とぴったり同じにはなりません。
繰上返済の手数料がかかる場合もあります。
概算でよいので、残債と、家が売れそうな価格を並べてみる。
判断はここから始まります。
足りるか足りないかで、道が分かれます
売却価格がローン残債を上回る状態を、アンダーローンと呼びます。
逆に下回る状態がオーバーローンです。
言葉は紛らわしいのですが、借金のほうが大きいとオーバーと覚えると混乱しません。
| アンダーローン | オーバーローン | |
|---|---|---|
| 関係 | 売却価格 > 残債 | 売却価格 < 残債 |
| 売却 | 通常どおり売れる | そのままでは売れない |
| 手元 | 諸費用を引いた残りが残る | 不足分を用意する必要がある |
ここで忘れやすいのが諸費用です。
仲介手数料、抵当権抹消の登記費用、印紙代、引っ越し代。
売却価格がぎりぎり残債を上回る程度だと、手元には何も残らないことがあります。
足りないときは、3つの道から選びます
①自己資金で埋める
いちばん単純で、手続きも通常の売却と同じです。
不足が数十万円なら、この方法で収まることが多いと思います。
②住み替えローンを使う
新しく買う家のローンに、前の家の不足分を上乗せして借りる方法です。
審査は通常より厳しくなり、売却と購入の日程をそろえる必要もあります。
使えるかどうかは、先に金融機関へ相談しておくのが確実です。
③任意売却を検討する
返済そのものが難しくなっている場合の方法です。
金融機関の同意を得て、残債が残るまま抵当権を外してもらい売却します。
ただし、これは返済が滞っている方のための手続きという位置づけです。
信用情報への影響もありますので、返済を続けられているうちは①②を先に考えるほうがよいと思います。
間違えやすい点は3つあります
①売れそうな価格は、査定額とは別
査定額は「この金額で売れるだろう」という見込みです。
判断に使うなら、複数社に出してもらい、幅で見るのが現実的です。
②ペアローン・連帯債務は1人では決められない
夫婦それぞれが借りている場合、売却も返済もそろって手続きが必要です。
③売却益が出たら税金の話が出てくる
住んでいた家には特別控除の制度がありますが、要件があります。
利益が出そうなときは、早めに確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 金融機関に売ると伝えたら、返済を迫られませんか。
完済の見通しを伝える連絡ですので、通常は問題になりません。
むしろ黙って進めるほうが、決済日に手続きが間に合わなくなります。
Q. 残債があると査定はしてもらえませんか。
査定は残債と関係なく受けられます。
むしろ残債があるからこそ、先に金額を知る必要があります。
Q. 賃貸に出すのはどうですか。
住宅ローンは自分が住むことが前提の融資です。
無断で貸すと契約違反になり得ますので、必ず金融機関に確認してください。
Q. 売却と購入、どちらを先にすべきですか。
残債があるなら、売り先行のほうが資金計画は立てやすくなります。
まとめ
ローンが残っていても、家は売れます。
条件は、売った代金で完済して抵当権を消せること。
そのために、まず残債を調べる。
次に、いくらで売れそうかを知る。
この2つの数字を並べるところから始まります。
足りなかったとしても、道は1つではありません。
まずは残高証明を取り寄せて、査定の金額と並べてみませんか。
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判断に必要なのは、残債と「いくらで売れそうか」の2つです。査定は無料で受けられますので、動くかどうかを決める前に数字を出しておくと考えやすくなります。
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