「そろそろ実家を売ろうと思うけれど、いくらで売れるのか分からない」——不動産の相談でいちばん多いのがこれです。そして多くの方が、最初の一歩でつまずきます。
不動産は株式と違って「今日の値段」が公開されていません。だからこそ、自分で概算をつかんでから業者に話を持っていくかどうかで、その後の交渉の質が大きく変わります。この記事では、専門家でなくてもできる価格査定の3ステップを解説します。
大前提:不動産には4つの「価格」がある
まず混乱の元を潰しておきます。ひとつの土地に、性格の違う価格が複数存在します。
| 名称 | 公表元 | 実勢価格との関係 |
|---|---|---|
| 公示地価・基準地価 | 国土交通省・都道府県 | ほぼ実勢価格に近い(年1回) |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 公示地価の約80% |
| 固定資産税評価額 | 市町村 | 公示地価の約70% |
| 実勢価格(成約価格) | — | 実際に売買が成立した金額 |
固定資産税の納税通知書に書かれた金額を見て「うちの土地はこの値段なのか」と思い込んでしまう方が多いのですが、あれは実勢の7割程度の水準です。ここを知っているだけで、最初の見立てが大きくずれずに済みます。
ステップ1:路線価から土地の下限をつかむ
国税庁の「財産評価基準書 路線価図」で、対象地の前面道路に付された路線価(千円単位/1㎡)を調べます。
計算式はシンプルです。
路線価 × 地積(㎡) ÷ 0.8 = 公示地価ベースの概算土地価格
たとえば路線価が50,000円/㎡、土地が150㎡なら、50,000 × 150 ÷ 0.8 = 約937万円。これが土地部分のおおよその目安になります。
注意点として、路線価は整形地・標準的な間口を前提にした数字です。旗竿地、間口が狭い、崖地を含む、市街化調整区域といった条件が付くと、ここから大きく下振れします。あくまで「上振れしにくい基準線」として使ってください。
ステップ2:成約事例で実勢を確認する
次に、実際にいくらで売れているかを見ます。無料で使える情報源は主に2つです。
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省):実際の取引価格をアンケートベースで集計したもの。地域・面積・築年で絞り込めます。
- レインズ・マーケット・インフォメーション:直近の成約価格を地域単位で確認できます。
ここで見るべきは「売出価格」ではなく「成約価格」です。ポータルサイトに出ている売出価格は売主の希望額であって、成約はそこから5〜10%下がることが珍しくありません。売出価格だけを見て相場感を作ると、必ず高すぎる見立てになります。
探すときのコツは、条件をできるだけ揃えること。同じ町名・±20㎡・築年数±5年。3〜5件見つかれば、㎡単価の相場が見えてきます。
ステップ3:建物の残存価値を差し引く(または加える)
戸建ての場合、土地に建物価値を上乗せします。ただし木造住宅の税務上の耐用年数は22年で、実務上も築20年を超えると建物価格はほぼゼロ査定になるのが一般的です。
むしろ注意すべきはマイナス評価のほうです。
- 解体費用:木造30坪でおよそ120〜180万円(地域・立地により変動)
- 残置物撤去:家財が残っていると数十万円単位
- 越境・境界未確定:測量費で数十万円+期間
築古の家が建ったままの土地は、買主から見れば「解体費を負担してから使う土地」です。ステップ1・2で出した金額から、この分を差し引いた額が現実的な着地点になります。
自己査定を終えたら、複数社に当てる
ここまでで、自分なりの「これくらいだろう」という数字ができているはずです。この状態で不動産会社に査定を依頼すると、話がまったく違ってきます。
提示された査定額に対して「なぜその金額なのか」を具体的に聞けるようになりますし、相場より明らかに高い査定額を出してくる会社(媒介契約を取るためのいわゆる高値査定)を見抜けます。高値で預かって、売れないまま何度も値下げする——これは売主にとっていちばん損なパターンです。
査定は1社では判断できません。最低3社、できれば「大手系」「地域密着系」を混ぜて依頼するのがおすすめです。
まとめ
- 路線価 ÷ 0.8 で土地の基準線を出す
- 成約事例(売出価格ではない)で実勢を確認する
- 建物・解体・境界のマイナス要因を差し引く
- その数字を持って、複数社に査定を依頼する
不動産の売却は、判断材料を持っているかどうかで結果が数百万円変わる世界です。業者に丸投げする前に、この3ステップだけでも自分で押さえておいてください。
査定を依頼するなら
愛知・岐阜エリアであれば、地域の成約データを多く持つ会社に当てておくと精度が上がります。買取にも対応している会社なら、「仲介で売った場合」と「買取で今すぐ現金化した場合」の両方の金額を比較できるので、判断材料が増えます。
PR
不動産売却・査定・買取の依頼なら【不動産SHOPナカジツ】![]()
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の売買判断を推奨するものではありません。具体的な売却手続きや税務については、宅地建物取引業者・税理士等の専門家にご相談ください。
コメント
コメントを投稿