市街化調整区域の不動産が売りにくいのは、突き詰めると「原則として建物を建てられない」からです。買った人が自由に建てられないなら、需要が細るのは当然です。
ただし、市街化調整区域のなかにも比較的売りやすい土地があります。その違いは「再建築できるか」「開発許可が取れる見込みがあるか」の2点に集約されます。
この記事では、売れる土地の3タイプと、売れにくい場合の買い手の絞り込み方を整理します。
この記事でわかること
- 市街化調整区域で売却しやすい土地の3タイプ
- 60条証明とは何か
- 農地が最も売りにくい理由(ダブル規制)
- 売りにくいときの買い手の絞り込み方
市街化調整区域の不動産が売却しにくい理由は
「原則として建物を建てられない」からです。市街化調整区域内で建物を建てるには、「開発許可」が必要です。せっかく市街化調整区域の不動産を購入しても、自由に建物を建てられないとなると需要が少なくなります。結果的に売却しにくくなってしまいます。
それを踏まえて、売却しやすい物件とは
①開発許可を取得して建てられた建物が存在する土地
市街化調整区域に合法的な手続きを経て建てられた建物であり、同規模・同用途の建物であれば将来的に再建築できます。
②60条証明によって建てられた建物が存在する土地
60条証明とは都市計画法の開発許可を必要としない計画に適合している証明のことです。
具体的には農家住宅や農林漁業用建築物、日常生活用品の販売・加工等の業務用の建築物が該当します。これらの建物が建っている不動産の土地は、すでに宅地なので都市計画法第34条に該当する、ガソリンスタンドやコンビニ、レストラン等の日常生活に必要な建物は建てることができます。(都市計画法43条による許可は必要)
③開発許可が得られる可能性のある土地
例えば、市街化区域に隣接し、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であって、おおむね50以上の建築物(一般的に市街化区域内に存在するものを含む)が連たんしている地域であれば、開発許可を受けられる可能性があります。
このように、再建築できる土地や新たな建物を建てやすい土地、開発許可が得やすい土地であれば売却しやすいです。
逆に、農地や開発許可が得られない時は売却しにくいです。
〈売却しにくい市街化調整区域の農地について〉
市街化調整区域の農地は、農地を農地以外にするためには農地法による転用許可が必要です。農地法と都市計画法によるダブル規制をうけるため売りにくい土地です。
売却しにくい場合は「買ってくれそうな人を絞ること」がコツになります。
・農家
・隣地所有者
・周辺で商売を行っている人(商売のための駐車場などの使用)
・現在の建物をそのまま使う人
売りやすさの早見表
| 土地の状態 | 売りやすさ | ポイント |
|---|---|---|
| 開発許可を受けて建てられた建物がある | ◎ | 同規模・同用途なら再建築できる |
| 60条証明で建てられた建物がある | ◎ | すでに宅地。日常生活に必要な建物を建てられる余地がある |
| 市街化区域に隣接し、建物が連たんしている | ○ | 開発許可を得られる可能性がある |
| 区域指定を受けている | ○ | 住宅・店舗が建てられる |
| 更地で、開発許可の見込みがない | △ | 買い手を絞って探す |
| 農地 | × | 農地法と都市計画法のダブル規制 |
農地がいちばん売りにくい理由
市街化調整区域の農地は、都市計画法による開発の規制に加えて、農地法による転用許可も必要になります。二重に規制がかかるため、買える人も用途も大きく制限されます。
農地のまま売る場合も、買主は実態のある農業従事者である必要があります。「畑にしたい」という個人には売れない、というのが現実です。
売りにくいときは「買ってくれそうな人」を絞る
市街化調整区域の売却では、広く募集するより、買える人を特定して直接あたるほうが成約に近づきます。
| 買い手候補 | 買う理由 | アプローチ |
|---|---|---|
| 隣地の所有者 | 自分の土地とまとめて広くしたい/通路を確保したい | 最有力。まず声をかける |
| 農家 | 農地を広げたい | 地元の農業委員会・農協経由 |
| 周辺で商売をしている人 | 駐車場・資材置き場として使いたい | 近隣の事業者に直接 |
| 現在の建物をそのまま使う人 | 建て替えずに住む・使う | 古家付きのまま売り出す |
特に隣地の所有者は最優先で当たるべき相手です。市場では値が付きにくい土地でも、隣地と一体になることで価値が上がるため、成立する可能性が高くなります。
売り出す前にやっておくこと
- 市町村で調査する…区域指定の有無、地目、線引きの前後、接道
- 建物の履歴書類を探す…開発許可証、建築確認済証、検査済証、60条証明
- 再建築の可否を確認する…「同規模・同用途なら建て替えられるか」を建築指導課に確認
- 調査結果を1枚にまとめる…買主が判断できる資料を用意しておく
市街化調整区域の商談が途中で止まる原因は、ほぼすべて「調べてみたら建てられなかった」です。先に調べておけば、そこで止まりません。
よくある質問
Q. 60条証明の書類がありません
A. 市町村の担当課に照会すれば、過去の証明の記録が残っていることがあります。地番と建築時期を伝えて確認してください。
Q. 建物を解体してから売ったほうが売れますか?
A. 逆効果になることが多いです。建物があることが再建築の根拠になっているケースがあるため、解体前に必ず市町村へ確認してください。
Q. 「連たん」の要件は全国共通ですか?
A. 共通ではありません。自治体ごとに運用が異なり、制度自体を廃止した自治体もあります。必ずその土地のある市町村で確認してください。
Q. 不動産会社に断られました
A. 市街化調整区域は役所調査の手間が大きく、扱わない会社もあります。地元で調整区域の取引実績がある会社を探すのが近道です。
まとめ
- 売りにくい理由は原則として建物を建てられないこと
- 売りやすいのは①開発許可で建てられた建物がある ②60条証明で建てられた建物がある ③開発許可を得られる見込みがある土地
- 農地は農地法と都市計画法のダブル規制で最も売りにくい
- 売りにくいときは隣地所有者・農家・周辺の事業者に絞って当たる
- 売り出す前に再建築の可否を役所で確認しておく
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調整区域は「そもそも売れるのか」「いくらなら動くのか」の判断が難しい土地です。取引実績のある会社に見てもらうと、買い手の候補まで含めた現実的な見通しが立ちます。
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