相続した土地の登記簿や重要事項説明書に「市街化調整区域」と書かれていて、不安になった方は多いと思います。
結論から言うと、市街化調整区域の土地は売れます。ただし市街化区域の土地とは、価格の付き方も、買える人の範囲も、まったく違います。しかも売り出す前に確認しておかないと話が途中で止まる項目がいくつかあります。
この記事では、その確認事項と、価格が下がる理由を整理します。
この記事でわかること
- 市街化調整区域とはどういう地域か
- 家が建てられるケース
- 売る前に確認する4つのポイント
- 価格が下がる理由と、買主がローンを組みにくいという壁
- 売りやすくするためにできること
そもそも市街化調整区域とは
山林や田畑を保全するために開発が規制されている地域です。規制されている地域のため、建物を建てるには都道府県の開発許可を受ける必要があります。既存の住宅の建て替えにも制限があります。
市街化調整区域は建物が建てられるか建てられないかの判断が難しいので個別に自治体に審査してもらい、開発許可を得る必要があります。
【家が建てられるケース】
・域内で農業・林業・漁業を営む人の住居〈開発許可なく建設OK〉
・すでに住んでいる農林漁業の従事者の家族(分家)が自宅を建てる〈建築許可を得て建設
OK〉
・地域住民に有益と認められる住宅兼用店舗〈建築許可を得て建設OK〉
・既存住宅の建て替え
そんな一癖あって、場合によっては建物が建てられない可能性があるのが市街化調整区域の土地です。
また、市街化区域の土地の固定資産税評価と比べた場合、市街化調整区域は2~3割ほど低くなっています。
他にもスーパーやコンビニなど、暮らすための便利施設が遠い
そういった理由から土地の価格自体も低いです。。。
さらに、その土地を担保にしてローンにする場合、その土地の価格が低いということは金融機関がローンの金額に担保が合わないと判断し、ローンがおりない場合があります。
【売る前にその土地について確認したいこと】
・区域指定制度
市街化調整区域であっても、各市町村が指定した区域であれば住宅や店舗が建築OKです。
・地目
農地だと、農地から宅地に転用するときに農業委員会に申請、都道府県知事に許可が必要。
しっかりと実態がある農業従事者にしか売却できません。
・線引き前の建物かどうか
線引き前に建てられた建物は売却には許可が必要ないですが、線引き後に一度建て替えを行った場合は「線引き後に建てられた建物」として取り扱います。
「線引き後に建てられた建物」は開発許可をうけて建設されています。農家であることを理由に建てられたなど、開発許可を受けて建設されています。新たに購入しようとする買主は使用者制限の解除の申請が必要で、解除できなければ購入できません。
売る前に確認する4つのポイント(チェックリスト)
| 確認項目 | どこで調べるか | 結果が悪いとどうなるか |
|---|---|---|
| 区域指定の有無 | 市町村の都市計画課 | 指定がないと買主が限られる |
| 地目(農地かどうか) | 登記事項証明書・農業委員会 | 農地なら転用許可が必要/買主が農業従事者に限られる |
| 線引き前の建物か | 市町村の建築指導課 | 線引き後の建物なら用途変更の手続きが必要 |
| 接道の状況 | 市町村の道路管理課 | 接道がないと再建築できない |
この4つは売り出す前に確認しておくべきものです。買主が見つかってから「実は建てられませんでした」となると、契約が白紙になるだけでなく、信用も失います。
1. 区域指定制度
市街化調整区域であっても、市町村が指定した区域内であれば住宅や店舗を建てられるという仕組みがあります。都市計画法にもとづく制度で、自治体によって呼び方や運用が異なります。
この指定があるかないかで、買える人の範囲がまったく変わります。まず最初に確認すべき項目です。市町村の都市計画課に地番を伝えれば教えてもらえます。
2. 地目が農地かどうか
登記の地目が「田」「畑」であれば農地です。農地を宅地として売るには、農業委員会への申請と都道府県知事の許可(農地転用)が必要になります。
転用が認められない場合、買えるのは実態のある農業従事者だけです。買主の範囲が一気に狭まるため、価格にも直結します。
3. 線引き前の建物かどうか
線引きとは、市街化区域と市街化調整区域を分けた日のことです。
| 建物 | 売却時の扱い |
|---|---|
| 線引き前に建てられた建物 | 売却に許可は不要 |
| 線引き後に建てられた建物 | 開発許可を受けて建てられているため、買主が用途(使用者)制限の解除申請を行う必要がある |
注意が必要なのは、線引き前の建物でも、線引き後に建て替えていれば「線引き後の建物」として扱われる点です。「昔からある家だから大丈夫」と思い込まず、建築の履歴を確認してください。
解除が認められなければ、その買主は購入できません。だからこそ、売り出す前にこの条件を把握しておく必要があります。
4. 接道の状況
建築基準法上の道路に2m以上接していなければ、そもそも建物を建て替えられません。市街化調整区域では、見た目は道路でも法律上の道路ではないということが起こりやすいので、必ず確認しましょう。
なぜ価格が下がるのか
- 建てられる建物が限られる…用途の自由度が低い
- 買える人が限られる…農業従事者や分家に限定されることがある
- 生活利便施設が遠い…スーパーやコンビニ、学校までの距離
- 固定資産税評価額が市街化区域より2〜3割低い…評価そのものが低い
- 買主が住宅ローンを組みにくい…ここが最大の壁
住宅ローンが通りにくいという壁
金融機関は土地・建物を担保に取ります。市街化調整区域は担保価値が低く見積もられるため、希望額に対して担保が足りないと判断され、融資が下りないことがあります。
現金で買える人か、自己資金を多く入れられる人しか買えない——これが実質的に買主を絞り込みます。取り扱ってくれる金融機関を事前に把握しておくと、商談が進みやすくなります。
売りやすくするためにできること
- 役所での調査結果を書面にまとめておく…区域指定・地目・線引き・接道の4点。買主の不安を先回りして消せます
- 建築の履歴を整理する…建築確認済証・検査済証・開発許可の書類を探しておく
- 近隣・隣地の所有者に声をかける…市街化調整区域では、隣地の所有者が最も現実的な買主になることが多い
- 取り扱い実績のある不動産会社に依頼する…役所調査の勘所がある会社かどうかで、話の進み方が変わります
よくある質問
Q. 市街化調整区域かどうかはどこで確認できますか?
A. 市町村の都市計画課、または自治体の都市計画図(ウェブで公開している自治体も多い)で確認できます。地番がわかれば電話でも教えてもらえます。
Q. 更地にしてから売ったほうがいいですか?
A. 市街化調整区域ではおすすめできないことが多いです。既存の建物があることで建て替えが認められているケースがあり、解体してしまうとその根拠を失う可能性があります。解体前に必ず市町村へ確認してください。
Q. 資材置き場や駐車場としてなら売れますか?
A. 建物を建てない利用であれば選択肢になります。ただし用途によっては開発行為に該当することがあるため、こちらも事前確認が必要です。
Q. 買い手がまったく見つかりません
A. 隣地所有者への打診、地元の農業法人、資材置き場を探している事業者などが候補になります。それでも難しい場合は、相続土地国庫帰属制度を検討する余地があります。
まとめ
- 市街化調整区域の土地は売れる。ただし買える人が限られる
- 売る前に区域指定・地目・線引き・接道の4点を役所で確認する
- 線引き後の建物は、買主が用途制限の解除申請を行う必要がある
- 価格が下がる最大の理由は買主が住宅ローンを組みにくいこと
- 調査結果を書面にまとめておくと、商談がスムーズに進む
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市街化調整区域は、扱い慣れていない会社に依頼すると役所調査の段階で止まってしまいがちです。まずは地元で実際に売買している会社に、売れる見込みと価格帯を確認しておくと動き出しやすくなります。
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